ポジションペーパー第1
日本におけるカナビス産業の倫理的拡大の方向性
ポジションペーパー第2
合成HHCおよびTHC-O等の「ハイコンパウンド」(=陶酔感「ハイ」を得ることを目的とした合成カンナビノイド)に関する日本カナビス産業協会(MAJIC)の見解について
ポジションペーパー第3
一般社団日本カナビス産業協会
日本におけるCBD製品の表示(ラベル等)要件
のカナビス産業のガイドライン。
ポジションペーパー第4
2024年の日本における大麻取締法改正に向け、THC残留基準の設定を提唱します。
ポジションペーパー第5
THC濃度に関するパブリックコメントの回答
ポジションペーパー第6
日本におけるTHC検査とカンナビス由来製品のための公正な基準の確立
ポジションペーパー第1
一般社団日本カナビス産業協会
日本におけるカナビス産業の倫理的拡大の方向性
2022年2月1日
日本におけるカナビス産業の倫理的拡大の方向性
カナビス産業は、この10年で世界中で劇的な成長を遂げました。日本においても、成長分野はあるものの、歴史的に重要な産業の再開発に全面的に参画しようという動きはまだ見られません。
カナビス産業は、農家、起業家、製造業者、外国人投資家が成功するための環境を構築するユニークな機会を日本に再び提供します。カナビス産業の市場規模は2021年は約300億ドルであり、2028年には2000億ドル程度までに成長すると予測されています[1]。日本でカナビス産業が再興するにつれ、さらなる明確化、指導、自主規制が必要な領域が多くあります。一般社団法人日本カナビス産業協会(以下「MAJIC」とする。)は、日本におけるカナビス産業の倫理的かつ持続可能な成長を目指し、建設的な対話と正確な情報の普及に努めます。
以下では、日本におけるカナビス産業の成功のために、カナビスの利点、皆様の疑問、質問、およびMAJICからの明確な方向性を明らかにします。
栄養学、健康食品、医薬品、化粧品、持続可能な建築材料、衣類、燃料、プラスチックなど、さまざまな産業で活用されているカナビスは、地球上で最も用途が広く、持続可能な植物の一つであり、ほとんどどこでも栽培することが可能です。気候にもよりますが、10週間から32週間で成熟し、肥料や有害な化学物質を使わずに簡単に栽培することができます。つまり、カナビスは様々な産業において、持続可能な製品として環境に優しい解決策を提供しているのです。
カナビスは、何百年も前から利用され、20世紀後半には全面禁止された時期もありましたが、現在では再び世界中でその効能が認められています。カナビスへの関心が高まるにつれ、科学的な研究も進み、カナビスの効能がより確かなものとなってきました[2]。
カナビスの大規模な栽培、生産、商業化を可能にする法律や政策の制定や変更を通じて、いくつかの国がカナビス産業の再構築に率先して取り組んでいます。カナビスに含まれる100種類以上の化合物について、健康、社会、経済、環境面でのメリットを各国が認識し、使用の合法化が進みつつあります。カナダ[3]、メキシコ[4]、南アフリカ[5]、そして米国の大部分[6]は、産業の成長をリードする国のほんの一例に過ぎません。ヨーロッパも同じ方向に進んでおり、ドイツは最近、カナビスを完全に合法化する計画を発表しています[7]。アジアでは、タイがカナビスを合法化し、この地域において初めてカナビス産業の再開発を積極的に進めています[8]。中国はカナビスの主要栽培国となり、韓国[9]、香港[10]、日本では限定的ではありますが、CBDなどカナビスから取れる物質の一部の販売を認めています。
日本は先の世界大戦が終わるまでは歴史的にカナビス製品の主要な生産国であり、消費国でもありました。しかし、1930年に麻薬取締規制によりカナビスは麻薬に指定され、カナビスの栽培や利用は困難になりました。
1948年に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指令により大麻取締法が施行され、現在は一部制限付きでカナビスの栽培が認められ、茎や種子由来のカナビス原料の使用や製品の製造・販売が認められています。いかなる目的であれ、THCを使用することは違法です。[11][12]
カナビス市場の各用途における市場規模と潜在的な成長性は下記の通りです。
Ⅰ 医療用途
てんかん、睡眠、疼痛、炎症、摂食障害、消化器系障害、化学療法に伴う症状の緩和などが考えられています。最近の研究では、ヘンプに含まれるカンナビノイドの一部が、コロナウイルスがヒトの細胞に侵入するのを防ぐのに有効である可能性があることが示されています[13]。市場規模は、2020年には68億2200万ドル、2030年には538億8300万ドル2021年から2030年までのCAGRは23.6%と予測されています[14]。
Ⅱ 食品・飲料
カナビスの食品、飲料、サプリメントの用途には、菓子類、フレーバードリンク、シリアル、ウェルネス・機能性食品(プロテインパウダー、バー、ドリンクなど)、またチンキやカプセルをベースにしたサプリメントが含まれます。また、ペットフードも成長しているカテゴリーです。カナビス食品・飲料の市場規模は2018年に4億2700万ドルで、2019年から2026年にかけて26.6%のCAGRを記録し、2026年までに26億3200万ドルに達すると予測されています[15]。
Ⅲ 繊維
カナビスの繊維は、建材、繊維、自動車材料、紙、生分解性プラスチック、動物用寝具、ロープなどに使用されています。市場規模は、2019年には44億6000万ドル、2027年には437億5000万ドルに達し、2020年から2027年まで年平均成長率33%で成長すると予測されています[16]。
Ⅳ 化粧品・パーソナルケア
ヘンプオイルやカンナビノイドなどのカナビスから得られる原料は、シャンプー、コンディショナー、クレンザー、トナー、クリーム、ヘアオイル、ボディオイルなどのスキンケアやヘアケアに使用されています。世界のCBD、スキンケア市場規模は2018年に2億3,410万米ドル、2019年から2025年までの期間にわたって32.9%のCAGRで成長すると予測されています[17]。
日本のカナビス市場規模は、正確なデータを収集するための協調的な取り組みがなされていないことが主な原因で、予測値に幅があります。日本は、2015/2016年頃にいくつかの企業が最初に市場を確立し、2020-2021年にはさらに多くの企業がCBD市場に参入し、CBDのアジア市場をリードしているようです。日本政府は、CBDやカナビスに含まれる他の合法的な化合物の輸入に関する明確な方針と手続きを確立しています。厚生労働省はワーキンググループに委託し、近い将来、カナビスに関する適切な政策と法律が実施できるよう、その提言を発表している最中です[18]。
MAJICは、正確な情報と自主規制を通し、日本のカナビス市場を倫理的にリードすることを目的に設立されました。政府や事業者と協力し、日本のカナビス産業を成長させることが私たちの使命です。私たちは、日本の消費者にカナビスの持つ多くの効果に関する正確な情報を提供し、日本のカナビス産業を国際競争力のある魅力的な市場に成長させることを目指しています。私たちは、業界の倫理的なパートナーと協力し、生産的な議論と政策立案の支援を行います。MAJICは、特定の企業や個人ではなく、カナビス産業全体の成長に全面的にコミットしています。
以下は、MAJICが追求するトピックのリストであり、該当する場合は具体的な立場も示しています。このリストは、MAJICメンバーが各トピックについてより継続的に深い検証を重ねることにより、修正される場合があります。
Ⅰ カナビスの栽培
日本では古くからカナビスの栽培が行われてきました。MAJICは、日本でのカナビス栽培の発展を目指す農家の方々の努力を応援しています。MAJICは、この環境的に持続可能な素材が、日本の多くの産業でより大きな役割を果たすことができると考えています。
Ⅱ CBDとその他のマイナーカンナビノイドの倫理的な促進
MAJICは、日本で確立され、成長しているCBD産業の倫理的発展を支持します。これには、CBNやCBGのような「マイナーカンナビノイド」と呼ばれる、「ハイ」や陶酔感をもたらすことなく栄養やその他の健康上の利点を提供するものも含まれます。MAJICがCBDおよびその他のマイナーカンナビノイドに関して、業界の自主規制ガイドラインを以下の通り提案します。
- CBDとマイナーカンナビノイドの定義。消費者が正しく理解し、適切な表示を行うためには、定義の標準化が必要です。これには、ブロードスペクトラムとアイソレートの定義、麻由来の天然CBDと酵母や他の原料から生産された合成CBDの定義が含まれます。
- 消費者が明確に理解できるような、適切で一貫性のあるラベルの表示。
- 日本の輸入業者や生産者に課される要件と一致するように、個人輸入要件を規定すること。
- 日本でカナビス製品の製造に合法的に使用できるカナビス草の部位について。現在、使用できるのは茎と種子のみで、世界基準とは異なります。日本政府のワーキンググループは、他の部位からもにCBDの生産を許可される可能性があることを示唆しています。MAJICは、日本の基準を世界標準に適合させるためにカナビス植物の他の部位の使用が許可されることををサポートしています。
- 科学的根拠に基づく効能の訴求について。CBDやマイナーカンナビノイドのプロモーションや広告について、現時点では明確なガイドラインはありません。MAJICは日本政府と協力し、カナビスの推進者による不必要な、あるいは根拠のない主張を避けつつ、CBDやマイナーカンナビノイドのプロモーション資料で伝えることのできる、科学的根拠に基づく効果効能の一覧を定義したいと考えています。
- CBDのベイプの許容年齢の自主規制。MAJICは、CBDのベイプの使用可能年齢をタバコ喫煙可能年齢(現在20歳以上)と一致させるべきであると考えています。
- CBDの摂取許容年齢の自主規制:MAJICは、CBDがあらゆる年齢の人々に様々な利益をもたらすと信じていますが、未成年については保護者の同意を得ることを推奨します。
- 最近、陶酔感をもたらす合成カンナビノイドのバリエーション(デルタ8、HHCなど)が確認されています。MAJICは、それらを適切に調査・評価し、ベネフィットとリスクを研究し、追加規制が必要かどうか、日本政府と適切な議論を行うべきだと考えています。
Ⅲ THCの進歩と適正使用
日本を除くG7諸国は、何らかの形でTHCを認めています。日本の厚生労働省もワーキンググループを立ち上げ、医薬品に使用するTHCの合法化について提言を行っています。MAJICは、THCには一定の使用量であれば医療効果があることを理解しており、現在日本で大麻取締法により違法とされている大麻の有効成分を適切に規制・利用する方法を模索する日本政府の現在の取り組みを支持します。
Ⅳ カナビスを使った食品・飲料
ヘンプは、タンパク質、健康的な脂質、炭水化物など、体によくなじむ成分を含む植物性の栄養代替食品を提供します。MAJICは、日本でのヘンプ食品・飲料の普及を支持しています。
Ⅴ 繊維
カナビスは、建築、プラスチック、繊維など様々な用途に、環境的・経済的に持続可能な素材を提供します。MAJICは、国内での栽培、生産、そしてこれらの用途に使用される繊維の輸入の促進を支援しています。
Ⅵ カナビスの研究
カナビスの研究は、この植物の多くの利点が発見されるにつれて大幅に増えました。MAJICは、消費者と産業界の利益のために、日本におけるカナビス研究の発展を支援しています。
MAJICは、日本のカナビス産業に従事し、志を同じくする団体の皆様が、日本における倫理的で持続可能なカナビス産業のさらなる発展のために、我々と共に日本政府との建設的な対話に参加することを歓迎します。
- https://www.fortunebusinessinsights.com/industry-reports/cannabis-marijuana-market-100219
https://en.wikipedia.org/wiki/Legality_of_cannabis_by_U.S._jurisdiction
https://www.bangkokpost.com/thailand/general/2230303/ministry-pushes-full-cannabis-legalisation
Medical Cannabis Market Size, Share | Growth Analysis – 2030
Cannabis Beverages – Market Study by Global Industry Analysts, Inc.
Global CBD Skin Care Market Size & Share, 2025 | Industry Report
ポジションペーパー第2
一般社団日本カナビス産業協会
合成HHCおよびTHC-O等の「ハイコンパウンド」に関する日本カナビス産業協会(MAJIC)の見解について
2022年5月24日
合成HHCおよびTHC-O等の「ハイコンパウンド」(=陶酔感「ハイ」を得ることを目的とした合成カンナビノイド)に関する日本カナビス産業協会(MAJIC)の見解について
近頃、陶酔感「ハイ」を得ることを目的とした合成カンナビノイド(いわゆる「ハイコンパウンド」)を輸入販売している企業が数多く見られます。
合成HHC(ヘキサヒドロカンナビノイド)は2021年後半に日本の一部の企業によって導入され、日本政府当局はHHCの所有と使用を違法とするために迅速に動きました。最近では、それに代わり、THC-O(THC-O-Acetate)が「ハイ」を目的とする新しいカンナビノイドとして販売されています。
これらのほとんど知られていない「ハイコンパウンド」にはメリットがあるかもしれませんが、当協会の見解としては、これらの「ハイコンパウンド」は輸入と販売に関して、さらなる研究が必要であり、これらの「ハイコンパウンド」のベネフィットとリスクが明らかになるまで、人体への摂取目的での輸入及び販売は禁止されるべきだということです。
しかしながら、天然由来のCBDやDistillate、建材としての茎のなかにもごく微量のHHCが含まれている可能性が否定できず、それらについては別の基準を設けるべきだと考えます。
これらのハイコンパウンド製品の輸入及び販売の主な目的は、日本で違法であるTHCに関する法律を回避することであることは明らかです。
THCは海外で詳細に研究されており、ベネフィットとリスクについては、続々と各国が法律を変更し、医療および娯楽目的でTHCを受け入れるのに十分なレベルに定義されています。 当協会は、日本におけるTHCの合法化を推進または提唱する組織では全くありません。一方で、このように法律を掻い潜る形でハイコンパウンドが次々と投入される現状を鑑みれば、日本政府は、研究が不十分なこれらの合成カンナビノイド「ハイコンパウンド」が市場に溢れる前に、天然由来のTHCを検討する方がよいと考えます。
ポジションペーパー第3
一般社団日本カナビス産業協会
日本におけるCBD製品の表示(ラベル等)要件
のカナビス産業のガイドライン。
- CBD原料であるヘンプが栽培された国(原料原産地 )
- CBD製品が実質的な変更をもたらす最終加工、製造がなされた国(原産国)
- CBDの含有量
- 当該製品の情報が提供されるWEBページのリンク
- MAJICマーク(製品がMAJICの表示要件を遵守していることを証明するもの)
- 使用上の注意
- 使用方法
- 摂取量の目安
- 製品に含まれるカンナビノイドの分析証明書(COA)
- 製品に使用されているCBDの種類(アイソレート、ブロードスペクトラム、ブレン ド)およびカンナビノイドが麻由来、非麻由来、合成のいずれであるかの表示方法
- CBD原料であるヘンプが栽培された国(原料原産地 )
- CBD製品が実質的な変更をもたらす最終加工、製造がなされた国(原産国)
- CBDの含有量
- 当該製品の情報が提供されるWEBページのリンク
- MAJICマーク(製品がMAJICの表示要件を遵守していることを証明するもの
- 使用上の注意
- 使用方法
- CBD製品に含まれるカンナビノイドの法定一括表示内における透明性ある表示方法 について
- 製品に使用されているCBDの種類(アイソレーと、ブロードスペクトラム、ブレン ド)およびカンナビノイドが麻由来、非麻由来、合成のいずれであるかの表示方法
- CBD原料であるヘンプが栽培された国(原料原産地 )
- CBD製品が実質的な変更をもたらす最終加工、製造がなされた国(原産国)
- CBDの含有量
- 当該製品の情報が提供されるWEBページのリンク
- MAJICマーク(製品がMAJICの表示要件を遵守していることを証明するもの)
- 使用上の注意
- 使用方法
- 摂取量の目安
- 製品に含まれるカンナビノイドの分析証明書(COA)
ポジションペーパー第4
2024年の日本における大麻取締法改正に向け、THC残留基準の設定を提唱します。
はじめに
ヘンプおよび大麻(カナビス)製品中のテトラヒドロカンナビノール(THC)残留基準の規制は、現代の法的枠組みにおいて世界的に極めて重要である。麻栽培のTHC基準値を0.3%と定めた米国の2018年農業法案を受け、適切なTHC残留基準をめぐる議論は大きな盛り上がりを見せている。日本政府がTHC規制に対するスタンスを検討する上で、米国農業法案と同様の基準値を採用することのメリットを見極めることは不可欠である。本ポジションペーパーは、経済成長、公衆衛生、規制の明確化という観点から潜在的な利点を強調し、日本における麻製品のTHCレベル0.3%の確立を提唱することを目的とする。
経済的効果
THC濃度を0.3%に設定することは、国際基準に合致し、貿易を促進し、日本における麻産業の成長を促進する。規制を国際基準に合わせることで、日本の大麻生産者は国内外のより大きな市場にアクセスできるようになる。その結果、経済成長が促進され、雇用機会が創出され、ヘンプ分野の技術革新が促進される。さらに、麻栽培の拡大は農業の多様化につながり、農業従事者に代替収入源を提供し、農業地域の経済回復にも貢献する可能性がある。
公衆衛生への配慮:
THCの基準値を0.3%とすることで、消費者の安全と健康福祉を優先する。ヘンプと精神作用のある大麻の境界を明確にすることで、消費者は製品の使用に関して十分な情報を得た上で判断することができる。さらに、厳格な規制により、ヘンプ由来製品に含まれるTHCは微少であることが保証され、偶発的な中毒や健康への悪影響のリスクが軽減される。THC濃度を標準化することで製品の一貫性と品質が向上するため、消費者の信頼が高まり、繊維製品、食品サプリメント、化粧品など、ヘンプ由来製品の市場が活性化される。
規制の明確化と施行
THC規制を明確にすることで、取締りの仕組みが簡素化され、法執行機関の曖昧さを最小限に抑えられる。0.3%の基準値を採用することで、日本政府は麻製品の栽培、加工、流通に関する明確な枠組みを確立する。この明確さは、関係者のコンプライアンスを促進するだけでなく、規制監督を合理化し、行政負担と執行コストを削減する。さらに、明確に定義された規制は、高THC大麻品種の無許可栽培などの違法行為に対する抑止力として機能し、それにより公共の安全と規制の完全性を促進する。
世界的な傾向と判例
THC0.3%という基準値の設定は、国際的な潮流と判例を反映したものである。欧州連合(EU)や北米を含む世界各国は、公衆衛生と安全性を優先しつつ、ヘンプの治療的・経済的可能性を認識し、同様の規制を受け入れている。世界基準に合わせることで、日本はベストプラクティスを活用し、国際パートナーと知識を交換し、グローバルに急成長するヘンプ産業に有意義に参加することができる。
結論
以上のような多面的な利点を踏まえ、我々は日本政府に対し、2018年農業法案と国際基準の規定に沿っ て、麻製品のTHCレベルを0.3%とすることのメリットを検討するよう促す。このような措置は、経済成長を促進し、公衆衛生を保護し、規制の明確性を高め、ヘンプ規制における世界的な傾向に沿うこを約束するものである。THC規制に対する先進的なアプローチを採用することにより、日本は、安全性、持続可能性、革新性の原則を堅持しつつ、麻産業の可能性を最大限に引き出すことができる。
ポジションペーパー第5
THC濃度に関するパブリックコメントの回答
MAJIC、すべての日本のCBD製品に対し300ppm Δ9-THC基準を提唱し、消費者の安全と業界の健全な成長を促進
代表理事 マイケル・ボブロブ
理事 アレックス・ミュラー
理事 ムファウメ 薫
平素より、我々の業界に対するご指導、ご支援を賜り誠にありがとうございます。
産業用麻(カナビス)製品の製造業者および販売業者のための業界団体である我々『一般社団法人日本カナビス産業協会(MAJIC)』は本法改正及び規制基準設定に関して、以下の通り意見を提出させていただきます。
指定政令 イ濃度基準(改正麻向法別表第1条78項ロ)について、我々、日本カナビス産業協会はΔ9ーTHCの製品残留限度値は次の通りとすべきとご意見申し上げます。
全てのCBD製品において 300ppm (300mg/kg)
区分を設定しない。
その根拠は以下のとおりです。
1.最終製品におけるΔ9ーTHCの残留限度値は各国規定が異なっており、値もさまざまである。製品の区分の有無、区分の仕方にも差異があり、国によっては最終製品の残留限度値すら設けていないところもある。その中で、我が国が欧州食品安全機関の結論付けた悪影響を示さないと推定される摂取量のみを参考とし、我が国の残留限度値を算出するのは合理的でないと考えるため。
2.現状、正式な輸入通関、流通している製品分析書(COA)のTHC残量値は不検出(検出限界(LOD)または定量下限(LOQ)または両方において不検出)である。LOD,LOQの値は検査機関によって高低様々であり、今までの実績に照らし合わせれば300ppm未満が一つの目安ではないかと業界通念上推測されている。さらに、COA取得済み製品において、過去にTHCなど問題は起きておらず、安全は担保されていると考えるのが妥当である。業界規模、市場の維持、発展を考えれば従来通りの限度値の目安(300ppm)での運用で問題ないと考えるため。
3.残留限度値300ppmという基準はTHCが健康に影響しない(陶酔感含め)というWHO含め少なくない公的機関、検査機関が結論付けている数値よりも低いため。
4.現在の我が国の大麻栽培者の技術、施設では、基準(0.3% 政令で定める基準)を満たした大麻草から、検討されている残留限度値(1ppm)以下のCBD製品を製造することは不可能であること。これは、製品としての用途が限定的であるという課題、大麻栽培者の数減少という課題解決を阻む要因であると考えるため。
上記から、従来及び現状に則さない厳格すぎる基準を設けるのは市場を破壊する危険があるどころか罰則を設けたとしても結果違反品が流通する恐れを増幅させると考えます。我々としては、CBD市場黎明期より重ねた知見と検証の結果、残留限度値は最適値は300ppmとすべきとご意見申し上げます。
一方で、罰則規定を設け厳しく規制していただくことにおおいに賛成いたします。大麻由来製品にあっては、その製品特性などからたびたび我々が望まない違反事例が顕在しており、これは当業界の正常な拡大発展の大きな足枷となっています。規制が整備されることにより倫理的で透明感のある市場が構築されることを望みます。
我々『一般社団法人日本カナビス産業協会(MAJIC)』は、日本の法条例に従って製造および販売される産業用麻(カナビス)製品の製造業者および販売業者のために設立された日本で最初の業界団体です。
我々は、日本における合法的なカナビス製品に関連するビジネスを倫理的に主導し、成長させる必要性を認識した業界リーダー達によって設立され、使命感を持って様々な活動に取り組んでおります。
ポジションペーパー第6
日本におけるTHC検査とカンナビス由来製品のための公正な基準の確立
はじめに
日本におけるカナビス由来製品の規制が強化される中で、特にTHCの検出限界(LOD)に関して、MAJICはカナビス業界に対する潜在的な悪影響を深く懸念しています。検査方法の不一致、厳格な規制基準、そして明確なガイドラインの欠如が、運営上の重大な課題を引き起こしています。このポジションペーパーでは、これらの問題を明らかにし、バランスの取れた、公正で国際的に整合性のある規制枠組みを促進するための解決策を提案します。私たちの目標は、公共の安全を促進しながら、産業の成長と革新を支援することです。
懸念及び対策提案
1.検査結果の変動性
懸念:
検査機関ごと、検査時期によるTHC濃度結果の不一致。
輸入前にTHCレベルが1ppm未満であることが証明されたCBD製品(CBN,CBGを含む)が、日本国内または海外で再検査されると、高濃度のTHCが検出されることがあり、原因が不明です。その逆の事象も発生しています。CBNの場合、そもそもTHC濃度を10ppm以下に抑えることがほぼ不可能であると海外の生産者から言質を得ており、万が一10ppmに抑えることが一度できたとしても、その次の加工段階では高濃度となる確率が非常に高く、変動幅が多いことが確認できております。この変動は、企業が日本の厳格な規制要件を満たすために行った努力にもかかわらず、非遵守のリスクを重大にしています。
対策:
- THC変動の許容。検査条件によるTHCレベルの自然な変動を考慮し、合理的なTHC変動の許容範囲を導入することを推奨します。THC変動の許容は、製造現実を反映しつつ、安全基準を維持します。このアプローチは、国際市場の他の地域と整合性を保つことができます。
- 統一された検査手順及び検出基準の制定を提案します。
2.日本における厳格な残留限度値基準
懸念:
日本の厚生労働省は、THCの厳格なLOD基準を提案しています。
オイルには10 ppm、その他の製品には1 ppmです。この基準は、世界的に見ても最も厳しいものの一つです。現実的には統一された検査手順、検出基準をもってしても10ppmより大きな結果の差異及びTHC変動が発生する可能性も否定できずこの基準をクリアすることは非現実的です。特にCBN含有製品に関しては、これらの基準を信頼性を持って満たすことが極めて難しく、結果としてカナビス製品全てにおいて市場流通不可能となる可能性があります。
対策: 合理的な残留限度値基準及び統一された検査手順及び検出基準の制定を提案します。
3.統一された検査手順、検出基準の欠如
懸念:
異なる機関が異なる方法と機器を使用するため、同じ製品であっても検査結果が不一致になる問題があります。この標準化の欠如は、企業にとって不確実性を生み出し、コンプライアンスの失敗リスクを高めます。
対策:
MAJICは、国内外のすべての検査機関に適用される統一された検査手順、検出基準を定めるよう、厚生労働省に要請します。これらは、国際的に認められた権威ある検査機関と協力して開発されるべきです。
4.権威ある検査結果に関する不明確さ
懸念:
輸入前後、流通前後の検査結果に不一致が生じた場合、どの検査結果をもって法的に有効とされるかの指針がありません。さらに、輸入時の外国の試験成績書で合格したにもかかわらず、日本で再度検査した場合のTHC基準を超えた製品の取り扱いプロセスも明確ではなく、企業は規制の不確実性に直面しています。
対策:
- 検査機関の認定
我々は厚生労働省が国内および外国公的検査機関及び指定検査機関を定めることを提案します。またそれら認定機関と指定されるための基準制定を提案します。輸入前と輸入後の検査結果の不一致のリスクを軽減し検査結果への信頼が高まるだけでなく、企業はコンプライアンスのための明確な手順を得ることができます。
- 権威ある検査結果に関する明確なガイドライン
どの検査結果が権威を持つかを定義する明確なガイドラインを提供することが重要です。不一致が生じた場合には、第三者の仲裁者を含む透明な紛争解決プロセスを設け、公平かつ迅速に問題を解決できるようにするべきです。
5.新制度移行による発生する企業負担の軽減と経過措置の適用
懸念:
新制度の遡及適用により、企業が非遵守の製品を自主回収する負担があまりにも甚大です。市場の混乱を招き、企業は経営上の困難に直面します。
対策:
- 経過措置の適用
新制度施行前に輸入、製造、加工、流通された製品については新制度移行後も従前の基準に適合していればよいとする経過措置の制定、適用を強く要望します。
- 新制度移行により発生する企業負担の軽減
今回の法改正及び新制度は他に類を見ないほどの企業負担を伴うものでありであり、従前品の自主回収や新しい規制への適応に伴う財政的負担を軽減するため、政府による補助金や税制優遇措置などの形での財政的支援が提供されることを希望します。この支援により、企業は新制度を厳守し安定した経営を維持することができます。
結論
MAJICは、規制当局、検査機関、業界関係者と緊密に連携し、日本のカナビス業界が公共の安全を遵守しながら成長し続けることを約束します。検査結果の変動性に対処し、明確なガイドラインを設け、移行および財政的支援を提供することによって、革新とコンプライアンスのバランスを取る規制枠組みを構築できます。私たちは、厚生労働省に対し、他団体、業界関係者と共同で規制を精査し、公正で透明性のある持続可能な市場環境を確保するための作業部会の設置を促します。共に、公共の信頼と業界の成長を促進する規制システムを構築できることを期待しています。